JAPAN SUSTAINABLE SEAFOOD AWARD

リーダーシップ部門ファイナリスト

コラボレーション部門ファイナリスト

U-30部門

ファイナリスト紹介

リーダーシップ部門

単独、もしくは複数の企業、組織、個人による、画期的な取り組みで業界のパイオニア的存在となったプロジェクトを表彰します。周囲が次に続くような取り組みであることを重視します。

小規模漁業・養殖業者とともに持続可能な漁業・養殖業への移行を加速させる

小規模漁業・養殖業者とともに持続可能な漁業・養殖業への移行を加速させる

フィッシュ・アンド・プラネット株式会社
有限会社銀座大新
宮城県漁協 北上町十三浜支所 青年部グループ
DNVビジネス・アシュアランス・ジャパン株式会社

(ファイナリスト選定理由)
海のサステナビリティにおいて重要な役割を果たす海藻に着目した点、沿岸若手漁業者と老舗天ぷら店や海外団体など、多様な主体が連携し、グループでの、ワカメ・コンブのASC-MSC認証取得支援を行うなど小規模経営や地域による新たな活動を開始している点などが評価されました。

フィッシュ・アンド・プラネット株式会社は、小規模漁業・養殖業者とともに持続可能な漁業・養殖業への移行を加速させる取り組みを進めてきました。その最初のプロジェクトとして、関連会社であり江戸時代創業の老舗天ぷら屋、有限会社銀座大新の資金支援のもと、宮城県石巻市でワカメ・コンブの養殖を行う若手生産者グループによる日本初のワカメ・コンブでのASC-MSC海藻(藻類)認証の取得を、実務及び資金面において支援しました。この認証取得は日本初・世界二番目となるASCグループ認証(有志グループによる認証取得)の手法での取得となります。認証取得後は、同グループが生産したASC認証のワカメ・コンブを公正で安定した価格で買い取り、国内外のサステナブル・シーフード市場に販売します。また今後、他の生産者グループによる認証取得も支援していきます。

「うみとさち」ASC認証真鯛製品のライフサイクルアセスメント分析の実施

「うみとさち」ASC認証真鯛製品のライフサイクルアセスメント分析の実施

ウミトロン株式会社 マーケットサクセス

(ファイナリスト選定理由)
自社のAI搭載スマート給餌機を使用した場合の給餌による温室効果ガスの削減効果を可視化し、科学的な知見に基づき、サステナブルな養殖業を目指す姿勢が先進的だと評価されました。温室効果ガスの排出量の可視化は川上から川下までサステナビリティを浸透させる取り組みとして大きな意義があり、今後が期待されます。

ウミトロン株式会社が展開するサステナブルシーフードブランド「うみとさち」ASC認証真鯛におけるライフサイクルアセスメント分析を実施し、養殖業における原材料調達〜販売・廃棄までの温室効果ガス排出量を計測しました。また、ライフサイクル全体における温室効果ガス排出の8割超を占める飼料調達に関して、ウミトロン開発のAI搭載スマート給餌機「UMITRON CELL(ウミトロン セル)」を活用することで、飼料にかかる温室効果ガスを従来の自動給餌機比約2割削減できることも判明。真鯛製品100gあたりエアコン約1時間相当分の温室効果ガス削減に相当します。

『世界初 ASC-MSC 海藻(藻類)認証取得』で切り拓く、沖縄サステナブルシーフード推進プロジェクト

『世界初 ASC-MSC 海藻(藻類)認証取得』で切り拓く、沖縄サステナブルシーフード推進プロジェクト

株式会社ユーグレナ
八重山殖産株式会社
農業生産法人 有限会社伊盛牧場
琉球黒糖株式会社
トキなりフーズ
彩友美リゾート株式会社
那覇ベーカリー
株式会社イチバノチカラ
株式会社芭蕉堂
THIRD 石垣島

(ファイナリスト選定理由)
世界初のASC-MSC藻類認証を用いて、地域特産品と連携した商品開発がユニークであり、継続的な活動によって生産性、利用度の高いクロレラを有望な商品に育てたことが評価されました。ユーグレナの生産がいかに環境持続性に貢献するのかを明確にすることが期待されます。

株式会社ユーグレナは 2019 年1月に世界で初めて、ユーグレナ・クロレラでSDGs の目標 14 の達成に有効な方法の一つである「ASC-MSC 海藻(藻類)認証」 を取得しました。 スーパーフード、そして沖縄 石垣島の恵みであるユーグレナ・クロレラを“サステナブルシーフードの新たな選択肢”として、お客様に広く普及する活動を行っております。 2020年3月には石垣島内の企業と協業し「ユーグレナ石垣 ぬちぐすいプロジェクト」をスタート。島の特産品の認知拡大を目的に、新メニューや食品開発を推進してきました。2021年6月からプロジェクトを沖縄全土に展開し、2022 年現在も新たなコラボレーションが続々生まれております。

コラボレーション部門

複数の企業、組織、もしくは個人がノウハウを共有することで実現したプロジェクト(同業者間の協働も含む)を表彰します。複数組織が協働することで業界により大きな影響を与える取り組みであることを重視します。

中国・黄海沿岸域での漁業改善プロジェクトを通じたあさりのMSC漁業認証の取得

中国・黄海沿岸域での漁業改善プロジェクトを通じたあさりのMSC漁業認証の取得

株式会社ニチレイフレッシュ
丹東泰宏食品有限公司
WWF中国
WWFジャパン

(ファイナリスト選定理由)
生物多様性保全の上でも意義の大きい干潟を保全し、漁業の改善活動を粘り強く行ったこと、トレーサビリティを担保し、認証も取得できたことが高く評価されました。食品安全にも考慮しつつ、企業が水産物を調達する際の好例として、同様の取り組みが水産業界に広く波及することを期待します。

中国大陸と朝鮮半島に囲まれた黄海の沿岸域は、生物多様性が高く豊かな生態系がつくられています。その中でも鴨緑江河口域は、渡り鳥の重要な中継地であるとともに、中国の主要なあさりの生産地の一つとなっており泰宏食品有限公司、WWF中国、WWFジャパンは、この地域で持続可能なあさりの生産を実現するために、2016年11月に漁業改善プロジェクトを開始。改善の取り組みを通じて2020年1月にMSC本審査入りを果たし、2021年9月にMSC漁業認証の取得に至りました。
今回のMSC漁業認証の取得は、中国と日本のサプライチェーン上の関係者の協働による漁業改善プロジェクトを通じて実現した、中国で初めての事例です。

イトーヨーカドー(セブン&アイ)サステナブルシーフードの取組

イトーヨーカドー(セブン&アイ)サステナブルシーフードの取組

株式会社イトーヨーカ堂
三重県漁連及び各生産者様
株式会社シフラ

(選定理由)
大手流通小売企業の事業会社3社が全店舗でMSC、ASC、MELのCoC認証を取得したことは画期的であり、小売企業が生産者と一緒にサステナブルな食材づくりに責任をもって参加することが評価されました。

イトーヨーカドーでは2006年より「顔が見えるお魚。」養殖ぶりの供給を開始。安全安心であることを前提に、お取組先様と共に環境に配慮した養殖に取り組み、順次魚種を拡大。現在も取組継続中。同時にMSC認証・ASC認証・アラスカシーフードの取り扱いをすすめながら、MEL認証の基準作りにも参画。2020年には小売業として初めてMEL認証を取得。現在のMEL認証取扱魚種は養殖ブリ・カンパチ・真鯛・ヒラメ・銀鮭・鮎、天然魚ではかつお、海藻ではわかめとなっている。
2021年にはグループのヨーク、ヨークベニマルでもMEL認証商品の取り扱いを開始。MELとあわせ、MSC、ASCについても事業会社3社にて、CoC認証を全店で取得済。

長崎県五島市福江島特産品「ひじき」の復活・商品化・販売への取組み」

「長崎県五島市福江島特産品「ひじき」の復活・商品化・販売への取り組み」
-福江島の漁業者が復活させた熱い想いと伝統の味を全国に届けたい―

福江島 崎山地区活動組織
マルキン水産食品有限会社
北村物産株式会社
株式会社日本アクセス 乾物乾麺 MD部

(ファイナリスト選定理由)
離島の漁業再生は難易度が高いものの、流通も含む多くの企業が参加し、絶滅したヒジキを商品化まで結びつけた点が高く評価されました。今後、ヒジキの復活により海洋生態系がどう回復していくかなど持続可能性がどう確保されていくのかが明確になることが期待されます。

今回ご紹介する取り組みは、一般社団法人離島振興地方創生協会が「離島振興」と「地方創生」を目指し、 島々の食産業の復興、生産者の生活基盤を整備し、対馬・壱岐・五島列島をはじめ、多くの島を抱える長崎県から成功モデルを創ろうとする活動に参画している企業が、長崎県五島市の福江島崎山地区活動組織が取り組む「平成 22 年に一度は絶滅した福江島産「ひじき」を復活させようとする取り組み」に注目し、「島の方々の復活にかける熱い想いとともに福江島伝統の味を全国へお届けしたい」という目標に向かって推進している取り組みです。
平成 24 年に崎山地区活動組織から始まった復活への取り組みは、島の漁業者による 10 年あまりの努力によって、ついに商品化するために必要な生産量まで復活、乾物として商品化され、2022 年 9 月に全国に向けて販売が開始されることになりました。

U-30部門

学生を含む、30歳未満の個人、あるいは30歳未満の個人を主体とする組織によるプロジェクト。水産業を持続可能にするためのプロジェクトであれば、構想や過程の段階でも評価されます。

サスシープロジェクト

サスシープロジェクト

横浜市立大学・学生団体 TEHs
横浜市立大学生活協同組合
横浜市立大学

(ファイナリスト選定理由)
学生の発意による国内大学初となる学食での取組である点、小売企業やケータリング会社などとも協力しながら進めている点が評価されました。将来的な需要創造や学生への知識普及、他大学への取り組みの広がりを期待する声が多く寄せられました。

横浜市立大学・学生団体 TEHs は、2022年5月に、MSC/ASC CoC 認証に対応した「サステナブル・シーフード(以下、サスシーと略)」を使用したメニューを学生食堂で提供するという、国内の大学初の事業である「サスシープロジェクト」を開始しました。近年の地球温暖化や IUU 漁業などによって引き起こされている水産資源の減少を解決するために、TEHsの学生自らプロジェクトを立ち上げました。TEHsが主導となり、プロジェクトの実施までに至る行程である、企画書作成、メニュー考案、関係各所との連携、取材対応などを担いました。横浜市立大学生活協同組合、株式会社 andBLUE、イオン株式会社やパナソニック・ホールディングス株式会社などの協力のもと、プロジェクトが実現しました。学生が身近にSDGsについて考えることができ、「食べる」という行為を通して地球規模課題の解決に貢献できる活動であると考えています。

廃棄ゼロの持続可能な水産資源の利用を目指して~氷見イワシ缶詰の残滓を活用した肥料づくり~

廃棄ゼロの持続可能な水産資源の利用を目指して~氷見イワシ缶詰の残滓を活用した肥料づくり~

富山県立氷見高等学校 海洋科学科
(株)健菜堂
(有)中村海産
(株)良品計画
立山高原ホテル

(選定理由)
水産業のどこの現場でも大きな課題となっている廃棄物の有効活用に着目した点、フードロスの観点として意義がある試みと評価されました。今後、氷見イワシの資源状態やイワシを漁獲する漁業のサステナビリティが担保されることが期待されます。

昨年度から本校海洋科学科では、氷見イワシの需要拡大を目指し新しい氷見イワシ缶詰の開発を行ってきました。缶詰製造ではイワシ原料約15kgの使用に対して残滓(頭・内臓・尻尾)が約5kg発生しており生ゴミとして廃棄してきました。そこで、SDGsの1つである「持続可能な生産消費形態を確保する」ことを目標に、残滓を肥料にして有効利用が図れないか研究に取り組み、私たちはイワシ残滓から「魚粕」という肥料を製造する方法を考案しました。そして、缶詰製造の際にでる残滓のほぼ100%を魚粕肥料に変えることに成功し、その結果、缶詰製造の際に出る廃棄物(固形)もほぼ「0」にできることが分かりました。現在、肥料の有効性を検証するため企業と連携し、肥料を用いたえごま栽培を実施しています。今後、収穫したえごまの実を商品として利用し、持続可能な水産資源の利用を実現していきたいと考えています。

京都・阿蘇海 ハマグリ資源管理プロジェクト

©Hidehiro Akahoshi

京都・阿蘇海 ハマグリ資源管理プロジェクト

京都府漁業協同組合溝尻地区 村上純⽮
京都府漁業協同組合溝尻地区運営委員会

(ファイナリスト選定理由)
全国的に激減しているハマグリの資源再生のために、漁協に思いを伝え、周囲と連携しながら科学的な根拠に基づき、自ら厳しい資源管理に取り組んでいることが高く評価されました。今後、周囲の生態系保全などの取組も期待されます。

村上純⽮⽒は、京都・阿蘇海でハマグリ資源回復プロジェクトを中⼼となって進めている漁業者です。中学卒業後すぐに漁師となり、19歳で独立。全国で激減している本ハマグリの資源回復と、「⼤好きな漁師という仕事を、祖父から引き継いだこの海でずっと続けたい」との思いで、22歳でハマグリの資源管理を組合に訴求しました。その後、村上⽒、京都府漁業協同組合溝尻地区運営委員会、京都府農林⽔産技術センター海洋センターとで連携し、2019 年より2年間の漁⾃粛を経て2021年からハマグリの資源管理をスタート。海洋センターのアドバイスのもと、それまでの全⻑制限に代わり漁期設定や操業時間規制、さらに漁獲数量規制を⾏ったうえで、資源量の30−40%に達したら漁期中でも終漁する取り組みにより資源回復を⽬指しています。

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