TSSS2019

P-3 基調講演 G20にみる世界の海洋保全の流れ -海洋プラスチックごみとIUU漁業-

P-3 基調講演 G20にみる世界の海洋保全の流れ -海洋プラスチックごみとIUU漁業-

外交政策としての、海洋プラスチックごみとIUU漁業対策

外務省 地球規模課題審議官 塚田玉樹氏

 

次の基調講演では外務省の塚田氏が、海洋プラスチックごみとIUU漁業の問題を中心に取り上げた。国境を超えてつながる海の問題は、一国では解決できない。この2つの課題にも、それが端的に表れている。塚田氏はこれらの問題に対し、日本の外交政策としての視点から、取り組みを紹介した。

昨年に続き今年のシンポジウムでも複数の登壇者が言及した海洋プラスチックごみの問題は、G20大阪サミットでも取り上げられるなど、ますます注目を浴びている。その影響は海洋生態系のみならず、水産物を通して人間の健康にも及ぶ。

しかし、そもそも海洋プラスチックごみはどこから来ているのか? 10年前の推計値ではあるが、G7を除くG20各国、およびASEAN各国から出たものが世界全体の6割以上を占めるというデータがある。つまりこれは一部の先進国だけではなく、世界全体で取り組む必要がある問題なのだ。

だからこそ、この問題をG20サミットで取り上げることには大きな意味があった。ここで共有された大阪ブルー・オーシャン・ビジョンでは、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにする目標を掲げている。2050年という期限と、追加ゼロという数値目標をもうけたことは大きな前進である、と塚田氏は強調する。さらに「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」をG20首脳が支持したことで、G20が範を示し、先導する体勢が示された。

このビジョン実現に向けて、日本はMARINEイニシアティブと題した国際協力に取り組んでいる。廃棄物の管理(MAnagement)と海洋ごみの回収(Recovery)に、イノベーションを活用し(INnovation)、途上国の能力強化(Empowerment)につなげる。これを二国間ODAや国際機関経由の支援として、あるいは日本の企業・NGO・自治体が主体となって国際展開する。

もうひとつの新しい国際的な取り組みとして紹介されたのが、ノルウェーの主導で始まり、日本を含め14の主要海洋国家が参加する「持続可能な海洋経済の構築に向けたハイレベル・パネル」だ。

同パネルは2020年6月にリスボンで開催予定の「国連海洋会議」に向けて本パネルの成果物として最終報告書をとりまとめようとしている。そこで取り上げられている大きな課題のひとつとしてIUU(違法・無報告・無規制)漁業対策がある。入港の拒否、船舶の検査、漁業資源がどこで獲れたかのトレーサビリティの確保といった対策を通じて、IUU漁業を締め出そうとしている。

この「ハイレベル・パネル」では、CO2削減についての海洋の活用も検討されている。海洋をうまく活用すれば、2050年までの地球温暖化の進行を1.5~2℃にとどめるために必要なCO2排出量削減量の21~25%に相当するCo2を削減できる可能性があると言われる。

こうした課題に対し、科学者からの16の報告(ブルーペーパー)をふまえて、首脳陣が政策を世に問うという構造に特徴がある。科学と政治の先進的な連携として、今後大きくマルチ外交を動かしていく力になることが期待されている。

 

 

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