JAPAN SUSTAINABLE SEAFOOD AWARD 2026
FINALISTS 第7回ジャパン・サステナブルシーフード・アワード ファイナリスト紹介

国内部門・ファイナリスト紹介 国内部門・ファイナリスト紹介

日本を拠点とする団体・個人によるプロジェクトが対象。単独での取り組みか、他の団体や個人との協働の取り組みかを問わず総合的に評価しました。

FARMER YOU PROJECT

FARMER YOU PROJECT

株式会社FARMER YOU

株式会社FARMER YOUは、生産者、飲食店、自治体などをつなぎ、地域の食と環境の課題を事業へ結び付けています。本プロジェクトでは、長崎県対馬市周辺で藻場消失(磯焼け)の一因とされ、市場価値が低く十分に利用されてこなかったアイゴと、東京湾で漁網被害をもたらし、駆除後も廃棄されてきたアカエイに着目。地域の水産事業者が集約・水揚げ・加工を担い、FARMER YOUが企画・商品開発・販路構築をコーディネートすることで、価値ある水産物へ転換しています。
対馬市では有限会社丸徳水産と連携し、地元で「バリ」と呼ばれるアイゴに、臭みを抑える下処理と下味を施して衣を付けたフィッシュカツ「バリカツ」を商品化。全国の飲食店でメニューとして提供され、月間2,500~3,000枚を取り扱うまでに拡大しました。一方、東京湾では浜武水産と協働し、アカエイの商品化にも取り組んでいます。
こうした魚種・地域ごとの連携を通じ、漁業者の新たな収益機会と沿岸環境の保全を両立する地域モデルの構築を目指しています。今後は千葉県内の自社工房を拠点に、関東の課題魚や里山の未活用資源を用いた商品開発へ展開する計画です。
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地域主導の藻場再生による脱炭素と自然共生 唐津・串浦発、漁師起点のネイチャーポジティブ実装

地域主導の藻場再生による脱炭素と自然共生
唐津・串浦発、漁師起点のネイチャーポジティブ実装

一般社団法人BLUE REVIVE

佐賀県唐津市鎮西町串浦では、2000年代以降、海水温の上昇や食害生物の増加によって磯焼けが進み、海の生き物の産卵・生育の場となる藻場の減少とともに、漁獲量が大きく落ち込みました。一般社団法人BLUE REVIVEは、海士漁師の袈裟丸氏による実践を基盤に、藻場と地域漁業の再生に取り組んでいます。
本プロジェクトでは、地元漁業者、市民、学校、唐津市、大学、企業と連携し、食害生物であるガンガゼの密度管理、クロメやアマモの植栽、科学的モニタリング、体験学習を継続しています。20年を超える活動を通じて藻場を再生し、藻場が吸収・貯留したCO₂について、2022年度から2025年度までに累計約116.3 t-CO₂分のJブルークレジットの認証を受けています。また、東北大学や唐津市との協働により科学的モニタリングを制度化し、活動地域は環境省認定の自然共生サイトに指定されました。
さらに、2026年1月に設立された「唐津ネイチャーファイナンス研究会」や「唐津・海の森共創プロジェクト」を通じ、藻場や海洋の自然価値を可視化し、その価値を海の再生や地域経済へ循環させる仕組みの研究や実証を進めています。藻場再生を漁場の回復、環境教育、漁業者の収入機会へつなげ、他地域への展開を目指します。
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指宿市 “山川の海のゆりかご” ブルーカーボンプロジェクト

指宿市 “山川の海のゆりかご” ブルーカーボンプロジェクト

山川町漁業協同組合

鹿児島県指宿市山川の沿岸域は、日本のアマモ場の南限に位置します。アマモ場は魚介類の産卵・育成の場となることから「海のゆりかご」と呼ばれ、CO₂を吸収・貯留するブルーカーボンとしての役割も注目されています。一方、近年は環境変化や植食性魚類による食害などを背景に藻場が減少し、その再生と保全が地域の課題となっています。
本プロジェクトでは、山川町漁業協同組合を中心に県内企業、学校、大学、研究機関などが連携し、アマモの種の採取からマットの製作・設置、環境教育までを実施。これまでに89本、計445平方メートルのアマモマットを設置し、藻場は約1,500平方メートルに拡大しました。2023年度には環境省の自然共生サイトに認定され、2025年度には1.4 t-CO₂のJブルークレジットの認証を受けました(前年度比1.0 t増)。
さらに、近年、海水温の上昇や漁業者の減少などを背景にイスズミによる藻場の食害が深刻化しているため、2026年からは個体に発信機を装着して行動を追跡するバイオテレメトリー調査を実施。効果的な食害対策や個体数管理につなげるとともに、捕獲したイスズミを使ったお弁当の商品化も進めています。調査による食害対策と、捕獲した魚の資源としての活用を組み合わせ、藻場の再生・保全並びに漁業者の所得向上など、地域経済の両立を目指します。
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アジア部門・ファイナリスト紹介 アジア部門・ファイナリスト紹介

アジアを拠点とする団体・個人によるプロジェクトが対象。単独での取り組みか、他の団体や個人との協働の取り組みかを問わず総合的に評価しました。

デジタルトレーサビリティと連携によるインドネシアの小規模マグロ漁業の変革

デジタルトレーサビリティと連携によるインドネシアの小規模マグロ漁業の変革

AP2HI(Indonesia Pole & Line and Handline Tuna Association)

一本釣りや手釣りは、環境に配慮した漁法として広く認識されているものの、サプライチェーンの分断やデジタルインフラの不足、漁獲記録の一貫性の欠如、トレーサビリティの不足などにより、インドネシアの小規模マグロ漁業者たちは、これまで透明性を十分に示すことができず、市場へのアクセスも限られてきました。このため、技術を活用した強靭なモニタリング体制が求められていましたが、新型コロナウイルス感染症の流行によってその必要性が一層高まりました。そこでAP2HIは、インドネシア東部でマグロを一尾ずつ漁獲する小規模漁業者と連携し、デジタル技術を活用して、漁獲記録やトレーサビリティ、データ収集、責任ある漁業活動の強化に取り組みました。
2020年から2021年にかけて、AP2HIは、政府、水産関連企業やIT分野のパートナーと連携し、船舶追跡装置、タイムラプスカメラ、電子航海日誌(ログブック)、港で収集したデータなどを組み合わせ、漁獲から流通までを一貫して追跡できるシステムを構築しました。その結果、係留された浮魚礁(FAD)93基と敷網14基の位置を地図上に示して、規制当局への提出に対応できるようになりました。さらに、漁獲物の適切な取扱い、絶滅危惧種や保護対象種(ETP種)の識別、法令に基づく船舶の登録、AP2HIの業界行動規範の順守に関する研修の実施も支援しました。
こうした取り組みは、AP2HIが展開する、より広範なサステナビリティに関する活動にも貢献し、2021年にはAP2HIの加盟漁業者によるMSC認証取得にもつながりました。さらに、AP2HIは本プロジェクトを土台に2025年には業界主導のデジタルトレーサビリティ・プラットフォーム「Blue Catch」を立ち上げました。Blue Catchは、Global Dialogue on Seafood Traceability(GDST)の国際規格を満たすものです。このほか、インドネシア海洋水産省(MMAF)は、同国のマグロ漁業許可を得ている船舶のデータベース(DIVA-TUNA)や同国全体の水産物トレーサビリティシステム(STELINA)を運用していますが、AP2HIはDIVA-TUNAへのFADの位置情報の入力、STELINAの支援などを通じてMMAFとの連携を継続しています。このように、本プロジェクトの成果がトレーサビリティと漁業ガバナンスを強化し、市場からの信頼を高め続けています。
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船上から政策へ:ASEAN域内外で国境を越えて働く漁船員を守る、市民社会からのボトムアップ型政策提言

船上から政策へ:ASEAN域内外で国境を越えて働く漁船員を守る、市民社会からのボトムアップ型政策提言

Human Rights Working Group(HRWG)

2023年5月、第42回ASEAN首脳会議で「移住漁業者のあっせんと保護に関する宣言」が採択されたことを受け、HRWGとBEBESEAは本プロジェクトを立ち上げました。海上での労働搾取を、違法・無報告・無規制(IUU)漁業、ビジネスと人権、企業の説明責任にまたがる課題と捉えた政策提言を共同で行うことで、移住漁業者とその家族の実体験をASEANの政策に確実に反映することを目的としています。
2023年8月には、当事者の声を起点に、幅広い参加と多様な背景への配慮を重視する地域協議を開催し、船員の労働組合、人権や移住者の権利に取り組むNGO、シンクタンクなど、東アジア・東南アジアの25団体から40人の参加を得て、包括的な政策文書とASEAN域内外に向けたガイドライン案を作成しました。同年12月から2024年8月には、インドネシア政府、ASEAN機関をはじめとした「移住漁業者のあっせんと保護に関する宣言」の実施に関係するステークホルダーとの公式協議を重ね、そこで得られた主要な提言は、2024年10月の第45回ASEAN首脳会議で採択された同ガイドラインに反映されました。2025年10月には、ASEAN政府間人権委員会(AICHR)議長の支持と出席を得て、NGOなどの関係者35人が一堂に会するワークショップをクアラルンプールで開催しました。同ワークショップの成果として、第6回ASEAN・EU人権政策対話に移住漁業者の保護を盛り込むことにつながりました。
本プロジェクトは次のステップとして、ASEAN加盟各国とその関係国などが、関連するASEANの各種ガイドラインを実効的かつ関係者を取り残さない形で実施するための取り組みに重点を置いていきます。また、企業との有意義な対話に力を入れること、地域コミュニティを中心に据えた人権デュー・ディリジェンスの実施をグローバルな水産物サプライチェーンで強化することにも、取り組んでいきます。長期的には、現場の実態、政策、そして企業の取り組みをつなぐことで、説明責任の向上と移住漁業者とその家族の保護を目指します。
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東南アジアにおけるIUU漁業の撲滅に向けた地域連携と各国の対策能力の強化

東南アジアにおけるIUU漁業の撲滅に向けた地域連携と各国の対策能力の強化

SEAFDEC/TD(The Training Department of the Southeast Asian Fisheries Development Center)

違法・無報告・無規制(IUU)漁業は、食料安全保障を脅かし、社会・経済にも悪影響を及ぼすとともに、水産資源の保全・管理・回復を妨げる深刻な問題です。SEAFDEC/TDは、日本信託基金(JTF)の支援のもと、ASEAN加盟各国と連携し、2020年から2024年まで本プロジェクトを実施しました。無許可操業、関係機関間の取締り連携の弱さ、不十分な寄港時検査、地域共通の水産物トレーサビリティの仕組みの欠如といった構造的な課題に取り組みました。
本プロジェクトは、3つの柱として①地域漁船情報データベース(RFVR)の活用、②寄港国措置(PSM)の実施を支える地域協力、③電子ASEAN漁獲証明制度(eACDS)の開発・導入を進めました。プロジェクト終了時までに、RFVRは5,370隻について28の主要データ項目を収録するまでに拡充され、ASEAN加盟国の漁業担当官800人以上がIUU漁業対策のための監視・管理・取締り(MCS)に関する研修を受講しました。eACDSについては、まだ完成版ではないものの、ベトナムは、自国の水産物サプライチェーンにおいて独自の電子トレーサビリティシステムを構築するため、既に導入を開始しました。
今後SEAFDEC/TDは、RFVRの対象を24メートル未満の漁船にも広げ、国内市場・輸出市場向けの商業漁業と小規模漁業におけるトレーサビリティの仕組みを改善する計画です。さらに、研修を受けた800人以上の人材を生かし、各国および地域レベルの取締りネットワークの強化を目指します。
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奨励賞紹介

ファイナリストへの選出には惜しくも至らなかったものの、審査において高く評価された取り組みを奨励賞として紹介します。

台湾遠洋漁業のインドネシア人移住労働者の人権リスクと日本市場に繋がるマグロサプライチェーンの実態調査

【国内部門】台湾遠洋漁業のインドネシア人移住労働者の人権リスクと日本市場に繋がるマグロサプライチェーンの実態調査

認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ

台湾の遠洋漁船上では、インドネシア人移住労働者が強制労働させられている疑いが指摘されてきました。2024年に台湾から輸出された刺身用マグロの多くは日本向けですが、サプライチェーンは複雑かつ不透明であり、人権リスクの把握が難しいことが課題です。
本プロジェクトでは、認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ(HRN)と台湾人権促進会(TAHR)が協働し、強制労働の疑いがある台湾遠洋漁船2隻のインドネシア人元乗組員への聞き取り、台湾・日本の制度分析、日本の水産関連企業19社への人権リスク対応に関するアンケートを実施しました。また、インドネシア移住労働者組合(SBMI)とも連携し、インドネシアにおける就職斡旋会社、元漁船乗組員、地方政府機関へのインタビューなどの現地調査を実施しました。
調査では、長時間労働、賃金未払い、身分証の没収、通信手段の制限などを記録し、人権リスクに関する企業の情報開示や、乗組員が救済を求められる仕組みの不足も明らかにしました。2025年9月に報告書『Silenced Voices』を公表。日本の水産庁、台湾農業部漁業署・国家人権委員会との対話、日本・台湾・インドネシアの関係団体によるウェビナーを通じ、国境を越えた人権保護の仕組み強化を目指しています。
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インドネシア・ランプン州における気候変動に強いタイワンガザミ漁業の共同管理モデルの実証

【アジア部門】インドネシア・ランプン州における気候変動に強いタイワンガザミ漁業の共同管理モデルの実証

EDFインドネシア(Environmental Defense Fund Indonesia)

EDFインドネシアは、2017年からインドネシア・ランプン州で、科学的データに基づくステークホルダー参加型のタイワンガザミ漁業の持続可能な共同管理を実践するパイロット事業を実施しています。タイワンガザミは、同国の水産物輸出額第4位であり、28万人以上の漁業者やサプライチェーン関係者の生計を支えていますが、乱獲、気候変動、法規制の不備、縦割りの管理、ステークホルダーの参加機会の不足などにより、効果的な漁業管理ができておらず、生態系と沿岸域の人々の暮らしの両方が脅かされています。
EDFインドネシアは、ランプン州海洋水産局、地元NGOのMitra Bentala(ミトラ・ベンタラ)、ランプン大学、漁業者、沿岸地域コミュニティーなどと連携しています。本プロジェクトは、これまでに、国・州レベルの漁業関連の法規制11件の土台を構築してきました。また、計60もの地域コミュニティ団体(うち漁業者団体42件、自治的な漁業監視団体9件、女性団体9件)の活動を支援してきました。そして、順応的管理とタイワンガザミの重要な生息域の保護のために漁業データを収集するシステムも立ち上げました。
本プロジェクトは、海洋保護区(MPA)や漁業管理区域(FMA)の共同管理を統合し、持続可能な漁業ガバナンスや海洋環境の責任ある管理の現場で、女性を含む沿岸コミュニティの人々が中心的な役割を担うという先駆的な共同管理モデルを構築するものです。EDFインドネシアは、新たに確保した5年分の資金を活用し、このモデルを州の制度として定着させ、インドネシア全体へ展開する計画です。将来的には、気候変動に対応できる漁業とMPAの共同管理の拡大、地域コミュニティのリーダーシップや生計基盤の強化、さらには他地域でも活用できる小規模漁業管理モデルの確立を目指しています。
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主催
共催