TSSS2019

C-1 東京五輪へ、アスリートが語る持続可能な食文化とライフセーバーが考える海の環境保全

C-1 東京五輪へ、アスリートが語る持続可能な食文化とライフセーバーが考える海の環境保全

海で人命と環境を守る活動について、世界を知る2人が対談し、次世代教育の重要性を強調した。ライフセーバーの飯沼氏は海水浴客の遊具の課題などを、東京五輪アスリート委員会委員の池田氏はサステナブルを目指すスポーツ界の潮流などを語った。

 

 

環境を守るセーフと命を守るセーフ

飯沼氏は朝と夕の海岸清掃を25年間も続けている。しかし、台風ごとに山や川からごみが流入して終わりが見えない。ハワイにもマイクロプラスチック混じりの「カラフルな砂浜」が出現し、大震災由来と思われる日本からの漂着物も目立つ。

海水浴客の遊具もごみになる。「100円で浮き輪やビーチボールが買える日本では持参率が高く、流された遊具を追って溺死する事故も多い。追いかけないで!と呼び掛けるので、夏の週末など90リットル袋3袋分が放置され回収される」。

飯沼氏は館山(千葉)で環境と人命を守るジュニアライフセーバーを育成している。幼少期からライフセービングを通して水のリスクや環境保全を教えるオーストラリアなどに比べ日本は遅れており、「下水道整備も含め、自治体や国を巻き込むのが課題だ」という。先進例としては、ビーチの国際環境認証「ブルーフラッグ」を取得した千葉県山武市がある。地元の多様な主体が、海を環境産業の資源と捉えて守っている。ごみ箱を撤去し「捨てない文化」も育んでいる。

両氏が共に注目するのは子どもだ。池田氏は、「一方的にインプットして紙にアウトプットさせるティーチングから、課題に関われる学びの場を提供するコーチングへ。『自分が取り組んで何かが変わった』という成功体験が大切」と語った。

 

 

スポーツ界はサステナブルに向かう

池田氏によると、教育文化として英国からスポーツを取り入れた日本は、スポーツ産業が米国の10分の1。まだリテラシーも低く勝利至上主義的だという。とはいえ「オリンピック・アジェンダ2020には、ハードもソフトも持続可能でないと開催できないと書いてある。2024年のパリ五輪はサスティナビリティど真ん中の大会になり、そこでスポーツが大きく変わるのでは」と世界の潮流を語った。

飯沼氏も「する・見るスポーツに加えて『支える』を東京五輪で日本に定着させたい。支える視点があれば、海の清掃活動も普及するだろう」と期待を込めた。

 

 

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