TSSS2019

P-4 基調講演 持続可能な水産資源の利用に向けて

P-4 基調講演 持続可能な水産資源の利用に向けて

日本の水域の4割は東京都 持続可能な海洋と水産のために

東京都 知事 小池百合子氏

 

続いて登壇したのは、東京都知事の小池氏。来年に迫った東京オリンピック・パラリンピックとその後へ向けて、東京都の姿勢と取り組みを語った。

日本の国土面積は世界61位と決して広くはない。しかし日本をとりまく排他的経済水域(EEZ)の広さは世界6位だ。そのうち4割が、離島などの島々を含む東京都に属する。日本近海では2018年までの100年間で、海面水温が1.2℃上昇している。これは世界平均の0.5℃を大きく上回る。海面水温の上昇は、磯焼けなど水産資源の被害や、漁場への影響だけでなく、今年続いた台風や大雨など異常気象の原因にもなっている。

もうひとつの大きな問題として、海ごみ問題がある。2050年には海の魚の量を上回るとも予測される海洋プラスチックごみの問題は深刻だ。これについては、シンポジウムの前日に開かれた「9都県市会議」でも議題に上ったと言う。海洋プラスチックはほとんどが生活ごみから来ている、ということはごみの出所から断たなければ問題はなくならない。この視点で、内陸県の首長も含めて対策を議論している。

東京都が抱える広い海域の中心は伊豆諸島と小笠原諸島で、キンメダイ、カツオ、サザエ、イセエビなど豊かな水産資源に恵まれてきた。しかしその生産量は年々減少を続けている。これを持続的に利用していくために、東京都では海洋調査、漁獲規制、漁場の整備、未利用資源の活用などの取り組みを継続している。2020年の東京五輪を機に、その後も視野に含めて、将来にわたって水産資源が利用できる環境を実現していく、と結んだ。

 

 

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