JAPAN
SUSTAINABLE SEAFOOD
AWARD

ジャパン・サステナブルシーフード・アワードは、日本で広がるサステナブルシーフード・ムーブメントをより一層活性化させるために、その年に功績を残した業界リーダー(組織・個人・プロジェクト)を表彰するものです。

ファイナリスト紹介

イニシアチブ・アワード

画期的な取り組みでサステナブル・シーフードの普及に貢献した組織や個人による取り組み。周囲が次に続くようなプロジェクト・取り組みであるかを重視します。対象:個人、組織(取り組みが 2018 年 7 月~2019 年 7 月の期間に重複していること)

『江戸前』を『EDOMAE』へ

『江戸前』を『EDOMAE』へ

海光物産株式会社(株式会社大傳丸・有限会社中仙丸)

『江戸前』という言葉を聞いて、まず「江戸前寿司」、それから派生して〝活きの良さ〟〝おいしい魚〟そして〝粋〟というイメージなどが思 い浮かぶのではないでしょうか。私たち東京湾の漁師にとっては、何と言っても『江戸前東京湾』、すなわち「生きる場所そのもの」なのです。 徳川幕府によって奨励され飛躍的な発展を遂げた江戸前の漁業は、時代とともに日本の食文化の根幹を担ってきました。将軍家に献上された海 産物は、やがて江戸庶民にまで浸透し、それが「江戸前寿司」のルーツとなりました。また近代になって戦後、食糧難の時には、東京湾のイワ シが関東近郊の人々の貴重なタンパク源となります。
この歴史と伝統のある船橋の漁業ですが、高度経済成長期には埋め立てや開発工事が進み、漁場は狭められ、同時に工場排水による水質汚染が 社会問題となりました。結果漁師たちは片隅に追いやられ、やむなく陸に上がる事を余儀なくされました。「えっ、東京湾で魚が捕れるの?」「東 京湾の魚って食べられるの?」そんな言葉を払拭するため、私たちは昭和から平成の時代、身をもって闘ってきたのです。リオの次の五輪開催地が東京に決まった瞬間、あの「TOKIO」と言う言葉が私には〝天の声〟に聞こえました。私たちが長年ブランド構築してき た『江戸前船橋瞬〆すずき』を選手始め大会関係者、観光客に振る舞い、おもてなしをしよう!!
と声を上げたのですが、そこには厳しい食材の調達基準がありました。当時言われていたのが、ロンドン五輪で始めて盛り込まれた『MSC 認 証』です。〝海のエコラベル〟として、最近では様々な場所で見かけるようになってきましたが、その合格基準は大変厳しいものです。1. 魚を 乱獲しないこと。資源が枯渇した場合はそれを回復する方法があること。2. 漁業が生態系の構造、多様性、生産力を維持するものであること。 3. 漁業に国外や国内のルールに従った管理システムがあること、などです。
2014 年にこれに基づいて実施した予備審査では、私たちの漁業には不備な点がいくつかあり、認証にはほど遠いものでしたが、この 3 原則こ そが、江戸前漁業がこの先 100 年続く鍵になるであろう事はそのときすぐに理解できました。すかさず〝日本初で日本発の FIP(漁業改善計画) 〟への取り組みを開始し、昨年末にはその進捗評価が最高ランクの『A』を獲得しました。つまり東京五輪への夢が、日本におけるサステナブルシー フードの普及活動へと変貌を遂げたわけです。五輪後のレガシーとして、世界が注目する『EDOMAE』を目指して活動を加速させてまいります。

海光物産株式会社 HP: https://kaikobussan.com/

きじま「美味しい和食と豊かな海を、未来もずっと。」

きじま「美味しい和食と豊かな海を、未来もずっと。」

株式会社キシマ

きじまでは、「美味しい和食と豊かな海を、未来もずっと。」をスローガンに、日本の海を持続可能にするため、海の抱える問題を多角的に捉え、様々な活動を展開しています。
活動を始めた背景としては、弊社は長年にわたる地場の三崎・真鶴・松輪・佐島・沼津、北は大船渡・尻屋・野牛、南は新居浜・長崎・平戸などをはじめとする全国の浜とのお付き合いの中で、多くの漁業者が抱える不安や海洋資源の様々な問題を目のあたりにしてきました。
“豊かな海を後世に残すため、きじまにできることはなんだろう”
“海の幸でレストランを営む上での社会的な責任として、きじまが海にできる恩返しとは”
そんな問いを大切に、以下のような取り組みを行っております。

  • 〇日本の和食店で初のMSC/ASC認証水産物の提供

    MSC/ASC認証取得の持続可能な海の幸を、その美味しさを最大限に引き出すよう、化学調味料・各種エキス類・保存料・合成着色料・合成香料無添加のお料理にしてお客様にご提供しています。

  • 〇有機/自然栽培の農産物の利用推進

    農薬や化学肥料で土壌や河川および地下水を汚染することは、最終的には海の汚染につながります。きじまは、有機/自然栽培の農産物の利用は豊かな海を守るためのひとつの答えになると考えています。

  • 〇合成洗剤の撤廃

    海洋汚染の主原因の一つである石油由来の合成界面活性剤の撤廃に取り組んでいます。すでに品目ベースで洗剤全体の75%を石鹸洗剤に切り替え、近日中には100%達成する予定です。

  • 〇FSC認証の森林資源の利用推進

    きじまで使う年間約40万膳の箸を全てFSC認証の箸にする計画で、10月中に全店での部分導入を目指しています。FSC認証の箸の利用を通じて「海と森はつながっている」ことを理解し、「海のために森を守る」ことの大切さを全社のスタッフで共有しお客様にお伝えします。

  • 〇環境印刷の採用

    お客様がきじまで手に触れまたは目にする印刷物を、一つひとつ人と環境に優しい非石油系溶剤のインクやFSC認証の紙、また再生可能エネルギーを利用したものへ変更を進めています。

  • 〇脱プラスチック

    今年より全店で使い捨てプラスチックストローを紙製ストローへ変更しました。また仕出し料理のお弁当の包材も、10月中にプラスチックを一切使わない紙と木から作られた容器へ変更します。

株式会社キシマHP: https://kijimagroup.co.jp/reason/about

『日本初 社員食堂へのサステナブル・シーフードの継続導入』拡大推進プロジェクト ~社員食堂から、消費行動を変革し、SDGs達成に貢献~

『日本初 社員食堂へのサステナブル・シーフードの継続導入』拡大推進プロジェクト ~社員食堂から、消費行動を変革し、SDGs達成に貢献~

パナソニック株式会社 ブランドコミュニケーション本部 CSR・社会文化部

・この活動は、社員食堂へMSC/ASC認証を取得したサステナブル・シーフードを継続的に導入する取組みで、日本で初めて2018年3月から、月1回の頻度で2拠点での提供を開始。2020年度中に約100拠点の全社員食堂への導入を目指している。
・この『活動の目的』は、社員食堂への導入により、社員に水産資源の危機的な状況やその対応策としてのサステナブル・シーフードの意義・重要性、主要な認証であるMSC/ASC認証などの『認知を向上』し、社員食堂だけでなく、社外でもサステナブル・シー フードを選んで購入するという『消費行動の変革』を起こし、SDGs達成に貢献すること。
・よって、この活動の第2期に当たる当プロジェクト(2018年7月~2019年7月末)では、「自社の導入拠点の拡大」、「他企業での導入拡大支援」、「一般(社員含む)への認知向上」に取組んだ。
・自社の導入拠点の拡大では、日本の給食業界初でMSC/ASC CoC認証を取得いただけたエームサービス様に担当いただいている他の拠点への『横展開』と、他の給食会社様への『新規認証取得提案および導入』を推進。
・その結果、『横展開』で9拠点に導入。グリーンハウス様、一冨士フードサービス様、テスティパル様、魚国総本社様等5社に『新規』で認証取得いただけ11拠点に導入。(合計20拠点:年間総喫食数約340万食)
・また、食品流通大手の尾家産業様による全国44拠点のCoC認証を取得いただけ、今後のサステナブル・シーフード導入拡大への大きな礎となった。
・他企業での導入拡大支援では、多様な機会を活用し、講演会等への登壇や個別の詳細なノウハウ共有などの打合せ等を実施。
・その結果、日立製作所様、デンソー様、JXTGホールディングス様等に、導入を実現いただけた。特に、デンソー様では、①SDGsの社内浸透のツールという新しい切り口での展開や②半年の短期間で6拠点に導入。更なる導入拡大に向け推進されておられます。
・認知向上では、社員食堂内表示や啓発チラシ配布、社内のe-Learnigを活用した周知徹底、メディアへの発信に取組み、数多くの新聞、雑誌、テレビ、ウェブ記事等で取り上げていただけた。また宣伝部門等との連携による動画ニュース、ウェブ記事、雑誌 広告等の掲載を通じ、多くの一般の方にもサステナブル・シーフードについての発信を実現した。

パナソニック『海を守る選択!』サステナブル・シーフードを社員食堂から拡げる: https://www.panasonic.com/jp/corporate/sustainability/citizenship/environment/sustainable_seafood.html

未利用魚はホントは美味しい魚と言わせたい!プロジェクト

未利用魚はホントは美味しい魚と言わせたい!プロジェクト

四十八漁場(よんぱちぎょじょう)

私たちは「居酒屋から漁業を創造する」ことを理念に、漁業・魚食文化・海洋資源それぞれの持続可能性を追求しながら、産地・漁師と直結し鮮魚を提供する居酒屋「四十八漁場」を運営しています(関東で20店舗)。
「四十八漁場」の“四十八”はアメリカの科学雑誌に発表された、“現状のままでは2048年に天然の魚介類が獲れなくなる”という専門家の調査結果から名付けたもので、「未来もおいしい魚が食べられますように」という願いを込めています。
そのため当社はブランドや魚種にはこだわらず、当社の考えに賛同する漁師が獲った、丁寧な手当てで鮮度を高く保持するなどの付加価値ある魚を高く評価し、適正な値で直接買い取ることをしています。
また、味がよい「未利用魚」も積極的に提供。人気のある魚が極端に消費されるような“偏り”を均すことも、鮮魚を扱う事業者として必要なことだと考えているからです。
こうした取り組みの推進で、漁師の収入のベースができ、結果、資源を顧みないやみくもな漁をする必要がなくなる未来を創りたいと考えています。

<代表的な未利用魚事例「ドンコ」>
四十八漁場の看板魚「ドンコ」は、海底から引き揚げられる際に水圧で出る浮袋をはじめとした印象的な見た目、流通に向かないほどの傷みやすさである特徴から、東北などの一部地域で限定的に食べられていた魚でした。しかし味は抜群に良く沢山獲れるため、鮮度を保持して流通させる神経〆(しんけいじめ)の方法を漁師に手ほどきし、都内で売れるようにブランディングしました。
お店ではスタッフがタライに盛った鮮魚をお見せしながら、未利用魚と呼ばれる魚が存在すること、実は味がよいのに食べられていない魚がたくさんいること、加えて漁師の努力・創意工夫などの“おいしい理由”をご紹介します。
昨年では、1尾300g~500gのドンコの使用量が4.55t。1.3万尾を使用したとして通常2名以上でシェアされるため少なくともドンコだけでも2.6万人に未利用魚を語り、楽しんでいただいたことになります。
今までの着実な積み重ねで、“未利用魚と言えば四十八漁場”のイメージも出来上がりつつあります。メディアにも多く取り上げられ、多様な未利用魚を紹介できたことも、社会や業界にインパクトを与えられていると考えています。
日々の営業の中で私たちのファンを増やし続けることが、私たちのサステナブル・シーフード普及活動です。

四十八漁場HP: http://www.48gyojyou.com/

コラボレーション・アワード

複数の企業、組織、もしくは個人がノウハウを共有することで実現した取り組み(同業者間の協働も含む)。複数組織が協働することで業界により大きなインパクトを与えるプロジェクト・取り組みであることを重視します。
対象:(2 つ以上の組織から成り立つ)複数企業、組織での取り組み(取り組みが 2018 年 7 月~2019 年 7 月の期間に重複していること)

「インドネシア・スラウェシ島 エビ養殖業改善プロジェクト(AIP)」

「インドネシア・スラウェシ島 エビ養殖業改善プロジェクト(AIP)」

日本生活協同組合連合会、WWFジャパン(公益財団法人世界自然保護基金ジャパン)、BOMAR社(PT.Bogatama Marinusa)、WWFインドネシア(WWF-Indonesia)

日本生活協同組合連合会(略称:日本生協連)は、ブラックタイガーの養殖業がASC(水産養殖管理協議会)の基準に基づいた持続可能な養殖業への改善を目指す取組みを支援する「スラウェシ島エビ養殖業改善プロジェクト」を2018年7月より開始しました。インドネシア企業BOMAR社(日本生協連のブラックタイガー商品の主力取引先)、WWFジャパン、WWFインドネシアと日本生協連の4者の協働で3年間の予定で進めています。
プロジェクトの目標は、「生態系・生物多様性の保全」と「持続可能な地域住民の生計確立と水産物の生産・消費」です。主な活動として、養殖池開発によって失われたマングローブの再生、水質調査などに関する手順書の作成とトレーニングの実施、エビの資源管理に関する政策提言などを行います。
プロジェクトのフィールドは、インドネシア・南スラウェシ州・ピンラン県で、ブラックタイガーの粗放養殖池を対象としています。

<プロジェクト参加者の役割>
BOMAR社:加工業者として事業の持続可能性を改善。生産者へ調査機器等を提供。現地関係者との連携・コミュニケーション。
WWFインドネシア:プロジェクトの設計および進捗管理。改善に関する技術的サポート(例:マングローブの再生、労働者へのトレーニングなど)。現地関係者との連携・コミュニケーション。
WWFジャパン:プロジェクト全体のコーディネーション。プロジェクトに関する国内での情報発信。消費者向けのコミュニケーションのサポート。
日本生協連:商品の開発・供給。加工業者(BOMAR社)への持続可能な調達の働きかけ。資金的な支援。消費者・生協組合員とのコミュニケーション。

<現在までの活動と今後の取組みについて>
環境影響評価と社会影響評価を実施し、AIPで改善することが必要な課題を特定し、取組みをすすめています。
マングローブ再生について、ASC基準では対象養殖池56haの半分の28haの面積の再生が必要とされており、2019年8月までに12ha・4万本以上の再生を行いました。
現地で手順書の作成とトレーニングをすすめています。
2020年中にプロジェクト対象の養殖池でASC認証の本審査にすすむ予定です。また、将来的に他の養殖池へのASC認証の拡大をめざしています。

インドネシア・スラウェシ島 エビ養殖業改善プロジェクト(WWFジャパン): https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3652.html

インドネシア「スラウェシ島 エビ養殖業改善プロジェクト」を開始(日本生協連): https://jccu.coop/info/newsrelease/2018/20180628_01.html?_ga=2.214039956.203599716.1571187564-412106203.1551394023

社員食堂における日本初のBAP認証水産物の導入および社員への周知活動

社員食堂における日本初のBAP認証水産物の導入および社員への周知活動

日立製作所、西洋フード・コンパスグループ株式会社

日立製作所は、池袋事業所の社員食堂にて、2018年11月よりサステナブル・シーフード(BAP認証)を導入し、認証食材を使用したメニューの提供をしております。BAP認証を取得した水産物を調達・提供するのは日本初の事例となります。
日立グループでは、長期的な視点からめざすべき社会の姿を「低炭素社会」「高度循環社会」「自然共生社会」の3つと明確化し、これを「環境ビジョン」と策定しています。この「環境ビジョン」の実現とSDGsの達成に向け、事業を通して取り組むとともに、各拠点でさまざまな社会貢献活動を行っています。水環境ビジネスユニットの主要拠点である池袋事業所では、「海を守る」ための社会貢献活動として、西洋フード・コンパスグループ様の協力のもと、サステナブル・シーフードメニューの導入を検討、開始しました。
BAP認証食材を使ったメニューの提供のみならず、サステナブル・シーフードの認知拡大のため、グループ共通のイントラ環境を活用した積極的なプロモーションにも取り組んでいます。具体的には、実際に提供されたメニューのレシピや、子供と一緒に学べるオリジナルコミックなど、家庭に持ち帰ってもらえるような情報を掲載しています。レシピは、西洋フード・コンパスグループ様にご協力頂き、時短のためのワンポイントや調理テクニックの情報を加え、家庭でも手軽に作れる内容となっています。また、コミックは、内容に付随したワークシートをあわせて掲載し、学んだ知識を生かして完成させることで、子供が楽しみながら学び、夏休みの自由研究としても活用できるようにしました。社員が日常生活の中でも「サステナブル・シーフードを選んでみよう」と考えるきっかけとなるようなコンテンツの拡充を推進しています。
また、社外から活動の詳細について問い合わせが増えているほか、サステナブル・シーフードの導入を検討している企業様に、提供日の食堂をご視察いただくなど、社内のみならず社外に対してもサステナブル・シーフードへの理解や認知を高めることに貢献していると認識しています。
今後も約30万人の連結従業員数を活かし、サステナブル・シーフードの認知拡大に継続的に取り組んでいきます。

プロジェクト詳細: https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2018/12/1211.html

「Tカードみんなのソーシャルプロジェクト」五島の魚プロジェクト

「Tカードみんなのソーシャルプロジェクト」五島の魚プロジェクト

株式会社Tポイント・ジャパン、長崎県五島市、株式会社浜口水産、株式会社津々浦々、森枝幹、T会員12名

サイズが不揃い、魚種がマイナーなどの理由で価値がつかず、捨てられてしまう未利用魚に適正な価値をつけるにはどうしたらいいか?
その問題に取り組んだのがTカードの購買データなどを活用して社会価値創造にチャレンジする「Tカードみんなのソーシャルプロジェクト」の第三弾となる「五島の魚プロジェクト」です。地域の美味しいものを生産者とTカードでつくることを目的に2018年6月に発足しました。
プロジェクトで活動を共にするのは、Tカードのライフスタイルデータをもとに6,900万人超のT会員の中から導き出された「魚介好きで食にこだわりがある」消費者代表T会員、五島の練り物メーカー浜口水産、五島市、食のサステナビリティを考え推進する森枝幹シェフ、流通、一次産業の六次化を支援する株式会社農林漁業成長産業化機構関連会社の株式会社津々浦々です。地域・消費者・流通と利害関係の相反するステイクホルダーが、より良き未来を創ることを目的として共に活動し、それぞれが有する知見をつなぎ、2019年11月中旬の商品発売を目指しています。
五島列島は、世界最大級の海流である黒潮から九州南西部で分岐する暖流対馬海流が対馬へ流れ込んでいることで多種多彩な魚が回遊しています。豊富な魚に恵まれる五島列島ですが、一方で鮮度保持や費用などの輸送課題により、都市圏に流通させにくい魚種が存在します。漁師、漁協、水産加工会社等の水産関係者にニーズをヒアリングした結果、「五島の魚プロジェクト」では未利用魚の課題をテーマとすることになりました。
地域・消費者・流通が共に満足する商品を開発し、継続した「六次産業化」の成立に取り組み、未利用魚に一定の価値をつけて利用することが、サステナブルな漁業につながるのではないかと思っています。
またプロジェクトを通して、一般消費者やメディアとも連携をしながら、イベントの実施・SNSなどを使って広く情報発信することで、サステナブルな漁業に関する問題提起と解決策としての未利用魚の魅力・活用を提案しています。
同時に商品開発~流通への展開を行うことで、認知獲得・理解促進にとどまらず、消費者が購入(アクション)出来る仕組みを作ることで、サステナブルな漁業のさらなる普及に貢献できればと思っています。

「Tカードみんなのソーシャルプロジェクト」五島の魚プロジェクトHP: https://tsite.jp/r/tcardsocial/goto/

日本初の次世代トレーサビリティーシステム構築プロジェクト

日本初の次世代トレーサビリティーシステム構築プロジェクト

海光物産株式会社、株式会社大傳丸、有限会社中仙丸、株式会社ライトハウス

海光物産株式会社と株式会社ライトハウスが取り組んでいる活動は、『100年培ってきた漁の現場のノウハウと最先端のテクノロジーを組み合わせた、日本発の次世代トレーサビリティーシステムの構築』です。資源評価や資源管理には、漁獲データの集積が不可欠となります。さらにそれを漁業者が簡単に記録、分析、共有することによって、漁獲物のトレーサビリティーが確保されます。つまり「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どうやって」、そして「なぜ」獲ったのかというストーリーを流通業者、消費者に伝えることによって、その漁業がサステナブルであるか否か、安心かつ安全であるか否かを付加価値にして行こうというものなのです。
(株)ライトハウスは、すでに魚探やソナー等の漁撈機器画像や船舶の航跡、船上での作業状況等のデータをリアルタイムに収集、可視化する船舶プラットフォーム「ISANA」を開発して、そのシステムを多くの船団に提供しており、「操業の効率化が図れた」など、好評価を得ています。これに漁業者の手で手軽に漁獲データを入力できる漁獲記録機能を加え、2020年春を目指して開発を進めているところです。
この取り組みは東京湾で代々まき網漁業を営む、(株)大傳丸/海光物産(株)との協働プロジェクトで、2018年12月から実際に同船団内に持ち込んで、実装実験を試みていおり、現場からの声を常にフィードバックして、〝より手軽で正確なデータ入力環境〟の構築を目指しています。こうした背景には、(株)大傳丸及び海光物産(株)、両社の代表を務める大野和彦の東京湾漁業に対するサステナビリティーへの熱い思いがありました。「漁獲データを毎投網ごとにメモを取り、シケ間をみてExcelのワークシートに入力しているのだが、ここにITやAIの技術を導入できないものか」という問題提起を受けて、新藤克貴を中心とする(株)ライトハウスの技術者集団が、「ISANA」をベースに本腰を入れて取り組むこととなりました。将来的には、資源評価や資源管理のサポートのみならず、これを起点に流通業者や小売店、飲食店、消費者までデータを共有し、同時にブロックチェーンの活用も視野に入れつつ、サステナブルなブランド構築することを実現していきたいと考えています。
本プロジェクトは、燃費や水揚げの向上など実益の伴う操業の効率化に加えて、資源評価や資源管理にも活用され、トレーサビリティーの確立はIUU漁業撲滅にも貢献し、それを新たな付加価値として、ひいては日本におけるサステナブルシーフードの普及にも広く寄与するものとなり得るものなのです。

海光物産株式会社HP: https://kaikobussan.com/

株式会社ライトハウスHP: https://lighthouse-frontier.tech/

ジャパン・サステナブルシーフード・アワードの受賞者は 11 月 7 日、8 日に行われる東京サステナブルシーフード・シンポジウム 2019 にて発表されます。

REGISTER

参加申し込み